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ヨール! アイビーダンシング!(1)

黒人英語イボニックス ebonics については少し前の号のルイールに書いたので、それを読んでくれた人にはちょっとダブる内容になるけれど、今、家にいい見本がいるので。

イボニックスは、あえていうなら標準語に対する方言みたいなもので、アクセントや文法、言い回しに特有なものがあるけれど、ちゃんと標準英語話者とも会話できる。ただし言い回しやスラングには黒人固有のものが多いし、とくに若い世代はどんどん新しいスラングを作るので、このあたりになると同じアメリカ人でも非黒人にはちょっと通じない。

日本から来たばかりの人が「黒人の言ってることが分からない」というのも、日本で英語を勉強する際にはまず聞くチャンスのない黒人特有のアクセントが理由。しばらくすると聞き慣れるけれど、いちばん難しいのが南部諸州から来た黒人の言葉。

以前、住んでいたアパートの管理人がノースカロライナ出身だった。ゆっくりと話す人だったけれど、南部特有のまったりとした「全部リエゾン?」みたいな発音がまったく聞き取れなかった。

ハーレムの黒人もそもそもは南部諸州出身なので、ベースには同じまったり感がある。けれど長年の都会暮らしがだんだん彼らを早口にし、独特の言い回しも作りあげてきたのだと思う。

このイボニックス、黒人コミュニティではほとんどの人が話しているけれど、公の場では標準英語を使わなければならない。ところが黒人コミュニティではイボニックス環境があまりに強烈で、大人でもイボニックスしか話せない人もいる。つまり、子どももなかなか標準英語を話せるようにならない。

今、うちには親戚の子どもが2人来ているけれど、彼らの将来を考える夫は、子どもたちのイボニックスを徹底的に指摘し、標準語に言い直させる。まるで大阪人に大阪弁を使うなと言っているのと同じで無茶なことやってるように思える。けれど夫も、子どもが友だちと話すときにまで標準英語を使えといっているわけではなく、この世には標準英語というものがあり、TPOによってそれを使わなければならないということを教えようとしているのだ。

最初にイボニックスは方言のようなものと書いたけれど、日本の方言とは違い、中央社会では「黒人の話すブロークンイングリッシュ」だと受け取られるのだ。


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by nybct | 2005-07-26 15:47 | ブラックカルチャー


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